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バクテリアを用いた自己治癒コンクリート技術を展開 會澤高圧、オランダ・デルフト工科大学のバイオベンチャーと提携
會澤高圧コンクリート(本社苫小牧市、代表取締役社長:會澤祥弘)は、オランダのデルフト工科大学(TU Delft)発のバイオベンチャー企業、バジリスク・コントラクティングBV(Basilisk Contracting BV、本社デルフト市)と、バクテリアを用いた自己治癒コンクリート材料の、日本における独占販売契約を締結致しました。
自己治癒 (Self-healing) とは、ひび割れに代表されるコンクリートの損傷をコンクリート自体が自動的に修復してしまう機能のこと。今回日本に投入するのは、コンクリート内に配合する特殊なバクテリアの代謝活動によって自己治癒を実現する新たな技術で、同大学のヘンドリック・M・ヨンカース氏率いる研究チームが開発しました。
コンクリートにとってひび割れへの対策はいわば“永遠のテーマ”であり、ヨンカース氏の研究は、バイオテクノロジーとコンクリート材料技術を融合することによって、コンクリートのメンテナンスフリー時代に道を拓こうとするユニークな試みといえます。当社では本技術を利用した製品の国内販売のほか、当社の持つコンクリート生産技術を活用した同大学との共同開発等にも力を入れ、自己治癒技術の普及を図って参ります。
バシラス属バクテリアの代謝を活用)
ヨンカース氏の技術は、乾燥状態におかれると胞子状の殻をまとうことで身を守り、休眠したまま200年もの間生き続けることができるバシラス属のバクテリアを用います。このバクテリア胞子を、バクテリアの餌(栄養分)となる乳酸カルシウムによって圧縮・固化し、さらに生分解性プラスチックの殻で覆って粒子状のカプセル「HA」(ヒーリングエージェント)として生成。このHAを所定の量、配合して生コンクリートを製造します。
HA内のバクテリア胞子は、生分解性プラスチックの殻によってコンクリートの練り混ぜ時には摩擦や水から守られ、活性化することなくコンクリートの硬化が進みます。コンクリートの硬化後、その殻は徐々に脆くなり、実際にコンクリートにひび割れが発生すると、割れ目から浸透した水にバクテリア胞子が反応して餌である乳酸カルシウムと酸素を取り込み、コンクリートと同じ成分である炭酸カルシウムを生成、ひび割れた部分を自然に埋めて行くという仕組みです。
また、炭酸カルシウム生成の過程で副産物として発生する水は、コンクリート中に残っているセメント成分と反応して水酸化カルシウムとなり、同じく副産物として発生した二酸化炭素と反応して、更にひび割れの中に炭酸カルシウムを増やし、加速的に修復を進行させていきます。
本技術によるコンクリートの自己治癒能力は、HAの混入量に応じて最大で幅1.0㎜までのひび割れに対応可能であることが実験で明らかとなりました。
自己治癒のメカニズム)
バジリスク社では、コンクリートの自己治癒材料の製品化(商品名:Basilisk HA)をすでに終えており、HAのさらなる小型化に取り組んでいます。また同技術を利用したコンクリート補修用材料も同時に開発。ひび割れ部分に塗布することで徐々にひび割れを修復し、最大で0.8mmまでのひび割れが修復可能な塗布型材料(Basilisk ER7)のほか、コテ塗りで使用できるモルタル材料(Basilisk MR3)をラインナップしました。
当社では、2017年夏より塗布型の「ER7」を皮切りに、需要動向を見極めながら、「MR3」や「HA」を順次投入して参ります。